アナタのココロを癒す治療|精神病は無理なく治療

医者

別の人格が現れる

虐待を受けた経験が原因に

カウンセリング

精神病の中に、解離性同一性障害という病気があります。これは、昔は二重人格とか多重人格と呼ばれていたものですが、近年になって増加してきたといわれています。多重人格という言葉が示すように、ひとりの人の中に別の人格が現れるという症状をもつ精神病です。ベースとなる穏やかで大人の人格のほかに、幼い子どもの人格、奔放な人格、内向的な人格など、相反する複数の人格が共存します。患者本人と性別の異なる人格もあります。ときには言語や人種が異なる人格さえあるとされています。この精神病の原因は、幼少期に身体的あるいは性的な虐待を継続して受けたことだといわれています。子どもの心には受け止めがたい、そうした過酷な経験を繰り返すうちに、痛みや苦しい感情、覚えていたくない記憶などを自分自身から切り離そうとし、それによって別個の人格が生まれるのです。別の人格が表面に出ている間、本人は記憶がある場合もあれば、記憶が欠けている場合もあります。アメリカでも非常に多くなっている精神病ですが、日本でも最近、子どもや若い女性への身体的・性的虐待事件は増加する一方となっています。こうした状況が、この解離性同一性障害という精神病の患者が急増している背景にあるとみられています。

治療薬の開発は今後の課題

解離性同一性障害の患者は、トラウマになった事柄と同じような状況や、本能的に恐怖を感じるような状況におかれると、人格交代のスイッチが入った状態になります。また、多数の人格のうちひとつまたはいくつかの人格が、その場にいる人に聞いてほしいことがある場合にもそうなることがあります。主となる人格にはそれをコントロールすることができず、社会的な場面で問題が起こることも多いので、精神病としての治療を受けることが必要になります。日本に先行しているアメリカでは、薬物療法や精神療法が行われており、催眠療法も一般的なものになっています。一方の日本では、健康保険で使える薬がまだありません。この精神病と同じく過去のトラウマが原因で起こるPTSD(心的外傷後ストレス障害)用の薬が用いられることもありますが、患者によっては目覚ましい効果が出ないこともあります。解離性同一性障害はPTSD同様、重篤な精神病のひとつです。幻覚や幻聴の症状を訴える患者も多く、ほかの精神病と比べても、自殺念慮や自傷行為のみられる割合が高くなっています。このような実態が広く認識されるにつれ、今後効果的な薬剤の開発も進んでいくと期待されています。